『メタバースとは何か』

メタバースとは何か 読書メモ - ビジネス

1.書籍情報

岡嶋裕史著、光文社新書、2022年1月発行、248ページ

2.購入した経緯

トレンドを把握しておきたく、購入

3.読書メモ

筆者の、学者として物事を体系立てようとする側面と、オタクとしての熱い想いが合わさって、自己主張のある良い本となっていると思う。以下、数点メモ。

■「幅広い分野で「モノ消費からコト消費へ」が謳われている。それらは、モノが飽和したのでコトの価値が高まったなどと説明されるが、私は「単にコト消費はコピーされにくいから、商売しやすい」が理由だと考えている。アイドルの握手会はその最たるものだ。」(20ページ)

■「そして、その握手会商法を脅かす技術がVRである。」(21ページ)

■「リアルでは、そうした困難や制約も含めて、旅だとされている。そう、きっとこのゲーム(注:FF15のこと)は利用者に旅を体験させたかったのだ。でも、利用者は現実と同じ体験を求めていなかった(注:なので、FF15に対する世間の評価は厳しい)。作られた仮想世界の中くらい、いやな要素を排した都合のいい空間に浸りたいのである。オープンワールドを作るにしても、リアルに寄せすぎてはいけなかったのだ。「もう一つの世界」は、利用者一人一人にとって快適でなければならない。」(94ページ)

■「では、あつ森はどのようなメタバースを形作っているのだろうか。あつ森全体をフィルターバブルと捉えるには母集団が大きすぎるし、あつ森の中でコミュニティは細分化されていて、本当のフィルターバブルはそちらにある。しかし、あつ森自体が持っている傾向もある。 それは、フリクションのゼロ化である。 フィルターバブル自体がフリクションを減らして、他者との無用な諍いを減らす目的と効用を持っているが、あつ森はサービスの総体がそこを目指している。」(100ページ)

■「だが、そのデジタルデータにオリジナルの刻印を押そうとする運動がある。まだちゃんとした名前がないので、私は「デジタルオリジナル」と呼んでいる。 デジタルオリジナルでは、本来オリジナルとコピーの差がないデジタルデータを見分けるために、ブロックチェーンが使われることが多い。(中略)NFT(非代替性トークン)という。」(108ページ)

■「人々が仮想現実内で過ごす時間を拡大させるならば、リアルでの会社業務を仮想現実に再現するだけでなく、仮想現実内で完結する仕事や仮想現実内でなければできない仕事も増えていく。」(143ページ)

■「自由と平等は本来食い合わせが悪く、自由を促進すれば平等が後退する。」(159ページ)

■「マジョリティは昔からサイレントだった。(中略)無音であるから、今やマジョリティの意見はリプリゼンテーションされにくい。(中略)「ネット世論」としてネット上で目立つ意見が報道の形で広まる機会が増えた今、これはリスクの兆候である。 ごく少数の、しかも偏った意見が、一つの世論として社会に認知されるからだ。マジョリティは自分にとって違和感のある意見が、存在感を増していくさまを眺めることになる。」(160ページ)

■情報流通の主戦場(171ページ)
 2000年代:ウェブ(王者:グーグル)
 2010年代:SNS(王者:フェイスブック)
 2020年代:メタバース?(王者:?)

■「資源や地位が有限である以上、全員が勝ち組になれるわけでもないでしょう。(中略)自分にとって快適なフィルターバブルに潜って、そのバブルでのナンバーワンを目指すのは理のある選択肢です。(中略)井の中の蛙ですが、蛙はけっこう幸せでしょう。蛙を批判することはたやすいですが、むしろ世界を知り尽くしている人よりも、楽しそうにしています。蛙である状況を飲み込んだ上で、井戸の中に入っていく人は増えるかもしれません。」(237ページ)

4.購入前の自分に薦めたい度

★★★★★(5段階中5)

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