『独学の技法』

独学の技法 読書メモ - ビジネス

1.書籍情報

山口周著、ダイヤモンド社、2017年11月発行、312ページ

2.購入した経緯

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』に感動してまとめ買いした山口周シリーズのひとつ

3.読書メモ

メモっておきたい箇所が大量にあって転記しきれないのでひとつひとつは簡潔に。

■「いったん脳にインプットした情報は、エッセンスだけを汲み取る形で丸ごと外に出してしまうわけです。汲み取ったエッセンスをストックする場所はフリーアクセス可能な外部のデジタルストレージであり、脳のパフォーマンスは、あくまでもインプットされた情報の抽象化・構造化にフォーカスさせます。そうすることで「覚えること」に時間をかけずに、知的戦闘力を向上させることが可能になるわけです。」(9ページ)

■本書における哲学の定義:システムを批判的に考察する技術の体系(21ページ)

■専門化が進むほど、専門の境界を越えて動くことのできる精神の能力が大事になる。その能力を与えるものが教養(リベラルアーツ)。(23ページ)

■「独学による「知的戦闘力の向上」を目指すのであれば、まずは闇雲なインプットの前に、独学の大きな方針となる「独学の戦略」を決めることが重要です。 さらにこの「戦略」を具体化する際には、もちろん「何をインプットするのか」を考えることも重要なのですが、同時にまた「何をインプットしないのか」を定めることが重要です。」(42ページ)

■独学する際、ジャンル(「心理学」「歴史」など)の設定から入るのではなく、自分が追求したいテーマ・論点に方向性を持つ。筆者の場合、「美意識はリーダーシップをどう向上させるのか」など。その人ならではの洞察や示唆が生まれやすくなる。(64ページ)

■「多くの人は「自分が持っているもの」を活かそうとせず、「自分が欲しいもの」を追求してしまう。」(74ページ)

■「「独学の戦略」を立てると、アンテナの感度があがる」(78ページ)

■「継続的に質の高いアウトプットを出し続けている人に共通しているのは、「人生のどこかでひたすらインプットし続けている時期がある」ということです。」(106ページ)

■「「ビッグデータ」という名称から、ポイントが「データの量」にあるように見えるわけですが、そうではなく、誰にでもアクセスできる大量のデータから、どうやって自分にとって意味のある洞察を抽出できるかという「情報処理の能力」についてのキーワード」(142ページ)

■「質問というのは、わかっていないから生まれるのではなく、わかっているからこそ生まれる」(147ページ)

■「モデルとは本質的なものだけを強調して抜き出し、あとは棄て去る作業です。「抽象」と「捨象」と言います。」(注:小室直樹著『論理の方法』からの引用)(159ページ)

■「知的戦闘力が上がる」とは、「意思決定の質が上がる」ということ。(167ページ)

■ひらめきについてのアインシュタインの見解:「直感的」に「追って知らせがある」(要するに、ひらめくときにひらめく)(173ページ)

■イノベーターに共通する特徴は、誰もが当たり前だと思っていることについて「Why?」を投げかけることができることだが、なんでもかんでも常識を疑うとコストがかかるので、疑うべき常識を見極める選球眼が必要。自分の(教養の)ストックに照らし、普遍性がより低い常識が疑うべき常識。よってストックの厚みが重要(187ページ)

■「創造性を高めるための有効な手段の一つとして、多くの人が指摘しているのがアナロジーの活用です。アナロジーとは、異なる分野からアイデアを借用するという考え方で、わかりやすくいえば「パクリ」です。」(189ページ)

■ジェームズ・ヤングが『アイデアの作り方』にて示した二つの原理(191ページ)
 ①アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ
 ②新しい組み合わせを作り出す才能は、事物の関連性を見つけ出す才能に依存する

■「思いもよらない組み合わせだったのだけれど、抽象度を上げてみると一定のつながりがある、しかもそれぞれ事前に意図することは難しいというような、「適度なランダムさ」が、新しいアイデアの組み合わせをもらたしてくれるということです。」(218ページ)

■「企業の管理職の中で、もっとも「専門外の領域」について責任を取らなければならないポジションにあるのが「社長」だということを考えてみてください。出世するということは、ある意味ではどんどん「非専門家」になっていくということでもあるわけです。」(239ページ)

■「哲学というのは「疑いの技術」だとも言えます。(中略)世の中で主流となっているものの考え方や価値観について、「本当にそうだろうか、違う考え方もあるのではないだろうか」と考えることが、「哲学する人」に求められる基本的態度だということになります。」(260ページ)

■「レトリックというのは、そのまま日本語に訳せば「修辞」ということですが、わかりやすく言えば「言葉を用いた巧みな表現」のことです。 特に重要なのがメタファー=比喩の用い方です。(中略)欧米ではレトリック、つまり言葉を巧みに用いて自分のメッセージを他者に伝える技術は、リーダーにもっとも必要な素養と考えられています。」(288ページ)

■「イノベーションが起こりやすい組織というのは、「上下間の風通し」がいい、ということがわかっています。」(295ページ)

4.購入前の自分に薦めたい度

★★★★★(5段階中5)

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