1.書籍情報
山口周著、PHP研究所、2021年10月発行、160ページ
2.購入した経緯
山口周シリーズ。
3.読書メモ
対談集。これまで読んだ山口周シリーズのなかでは一番イマイチだった。各章30ページほどなので、さわりだけ。興味を持った章(対談者)の本を買って深堀りする、という使い方(本の宣伝集とも言える)。
■「本来は、20代や若いときにこそ、いろいろな仕事を試してみて、一番自分のパフォーマンスが上がる文脈や場を見つけることをやってもらわなくちゃいけない。でも、まだ、それが非常にやりにくい社内システムになっているよね。(中略)世の中や仕事がわかってきて、この仕事辞めたい、もっと自分に合った仕事をしたいという時に、今度はロックインされちゃう仕組みがまだある。住宅ローンね。」(52ページ)
■「本来人間が作った情報量の少ないものに自然の作用で変化が起こって、情報量が増えた状態のことをわびさびと言います。(中略)自然は情報量が多いからこそ心地いい。波の音、風の音、川の音、木のそよぐ音が心地よいのは、その情報量の多い空間の中で人類はずっと生きてきているから。」(56ページ)
■「個人がまともに機能するには、身体的な情報と頭の中の概念的なもののバランスを取らなければならない。東京は、そのバランスが完全に頭の方に寄っています。それが行き過ぎだということは感覚的に分かるから、田舎に行きたくなる。当たり前です。」(82ページ)
■「五感から入ってくる感覚の大切さを親自身が知らなければ、役に立つと思うものだけ子どもにやらせる。教育は本来、事後的なものだと思います。何の役に立つかよく分からないけれども、子どものセンス・オブ・ワンダーが刺激されることをやって、50年経って、あれが良かったのかもしれないなという。」(89ページ)
■「ルールを適度に無視して、自分たちで考えて何かをしている状態は、交通だけでなく、社会の隅々にあり、本来その上に秩序ができているはずです。そのことを忘れて、細かいルールをつくって制度化しようとすると、一つ制度をつくるとまた別の制度をつくらなければなくなるのが現実ではないでしょうか。」(125ページ)
■「経営学の組織論でも、理念や企業文化をDNAとして継承したり、テキストとして正確にコピーしていくことが絶対善だと思われています。しかし、コピーの過程でランダムに起こるエラーこそが進化をもたらすなら、意図的にエラーを起こすプロセスの設定が必要になります。」(145ページ)
■「やりたいことが見つからない人は、移動距離が短いのだと思います。物理的な移動距離と精神的な移動距離の両方がありますが、喜怒哀楽の感情が駆動して、初めてセレンディピティが生まれる。(中略)移動距離の総和が短いと、きっかけに出会うことも少なくなってしまう。慣れ親しんだ環境から飛び出して、馴染みのない存在に出会う機会を作り続けることで、結果的にやりたいことに巡り合えるのだと思います。」(153ページ)
■「バブルが崩壊し、成長路線の限界を人々がうっすらと感じ始めていたものの、団塊世代が企業の上層部を占めていたので、成長を否定する議論は受け入れ難いという昭和的な価値観がまだ主流だった」(189ページ)
4.購入前の自分に薦めたい度
★★★☆☆(5段階中3)