『力を引き出す 「ゆとり世代」の伸ばし方』

力を引き出す 読書メモ - ビジネス

1.書籍情報

原晋、原田曜平著、講談社+α新書、2016年12月発行、192ページ

2.購入した経緯

部下の育成にあたり、ビジネス界よりも結果がシビアに出るスポーツ界の方が書いている本も読んでみたくなり購入。

3.読書メモ

本書冒頭にもある通り、人を育成するにあたり、ビジネス界でもスポーツ界でも本質的な話は同じと判明。そのため、あまり真新しさはなかったが、よい確認となった。

■「組織というものは、ベースにはちゃんと組織としてのルールがあって、その上に自由な発想というのが乗っかってくるものだと考えています。最初からすべての自由を与えてしまったら、それは単なる緩い組織となり、組織として重要な土台がしっかりできないと思っています。ですからまずはベースづくりには時間をかけました。」(13ページ)

■「組織が成熟してくると、ルールが確立し、ルールを破る人も出なくなる。でも同時に、そのルールがそもそもどういう目的やプロセスでつくられたのかを理解する人はいなくなり、ルールを守ってさえすればいい、と考える人が多くなる」(22ページ)

■「チャンスを与えるのが管理職の仕事。(中略)日本の企業は、若手にチャンスを与えるのが本当に下手です。こいつはこういう奴だ、と若手社員の能力の上限を印象で決めてしまうことが多いと思います。「地位が人をつくる」という言葉がありますが、下っ端での彼と、チャンスを与えた後での彼には変化が起こるかもしれないのに、いま自分が見えているものが全てだと思い込んでいる上司が本当に多いです。」(45ページ)

■「移民政策っていうのは、減少する労働人口を穴埋めする、というだけではなく、国に多様性を生む、という観点ですごく価値があります。」(83ページ)

■「ゆとり教育は、やることが明確な子や目的意識のある子たちには、とても素晴らしい教育で、要はゆとりの時間を自分の興味にあてられたから、意識の高い若者を伸ばすことができた部分はあったんじゃないかという気がするんですね。 でも、目的意識のない凡庸な子たちは、ゆとり教育でただ暇をもてあまして、家でゴロっとして過ごした。だからゆとり教育の功罪はやっぱりあって、サボる若者とがんばる若者の二極化を生んだことは間違いなかったように思います。 だからゆとり教育は、結局、エリート教育で終わってしまったというのが結論(中略) 設計図をつくっている人自身がエリートなんで、エリート教育はつくれたけれど、全体を底上げする教育システムはつくれなかったのかもしれません。」(88ページ)

■「学生に怒るときは、真剣に怒るけれど、最後は未来志向で締めるということは意識しています。(中略)「怒られた」ではなく、「アドバイスされた」と思われるようにはしていますね。」(143ページ)

■「常日頃50人部員がいても、最終的には箱根に出られるのは10人だけで、残りの40人は出られないわけです。でも出られる10人以外の人間はサボるのかい? あきらめるのかい? そういうもんじゃない。レギュラーになれようがなれまいが、自分自身がここまでやったというものを部にいる4年間で培ってほしい、それも含めて箱根駅伝なんだよという、ちょっとくさいセリフは言っているんです。」(162ページ)

■「誰もがいつかは引退するわけで、引退したときに、オレはここまでがんばったんだ、大学4年間は陸上競技に全エネルギーを注いだんだというものを残すことが、君たち自身の次の将来の輝きにもつながるんだということを伝えています。」(169ページ)

■「人がおもしろがる仕事というのは、じつは業種とか仕事の種類はあまり関係なく、自分の意思で、自分が主導して主体的にやれている仕事」(179ページ)

4.購入前の自分に薦めたい度

★★★★☆(5段階中4)

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