1.書籍情報
山本渉著、すばる舎、2023年7月発行、272ページ
2.購入した経緯
自分では部下にかなり任せているつもりだが、そのやり方がどうか、一度体系的に「任せるコツ」を確認したく、購入。
3.読書メモ
さっと読みやすく、スタンダードな内容。
■「”仕事を受ける側はすべての仕事を面倒と思っている”という前提からスタートしましょう。”やってみよう”と思ってもらう意欲を、依頼する側がつくりだす必要があります。そのためには、「感謝される」「褒められる」「自分しかできない特別感」の3つがポイントです。」(21ページ)
■「目的がはっきりすると、その依頼の全体像が見えて、ただの「作業」に意義と価値が足されて、「仕事」になります。」(23ページ)
■「「優秀か優秀じゃないか」よりも「向いているか向いていないか」、もっと言えば「相手がやる気になるか」という基準でアサインをしていく必要があります。(中略)本人の「適正」(何ができるか)と「意欲」(何がしたいか)が丸投げを成功させる鍵となります。(中略)重要なのは、さまざまな「意欲」がある(注:「自分の中で完結する意欲」「他者からもらう意欲」「他者に与える意欲」)ことを理解すること。そして自分を基準に考えないということです。」(41-42ページ)
■「誰にでも不得意な分野がある、そして依頼する側はそれを避けてアサインしましょう、ということです。(中略)”人が何かを成し遂げるのは、強みによってのみである、弱みはいくら強化しても平凡になることさえ疑わしい” 経済学者ドラッカーの言葉のように、短所を改善するより強みにフォーカスした方が得策です。」(45ページ)
■面談(注:1on1をイメージ)では「重要度は高いけど緊急ではないこと」を聞く。
(例:「この先どんな仕事がしたいか」「2~3年度どうなりたいか」「長期の目標」「(普段言いづらい)業務上の悩みや不安」)(66ページ)
■「「自分でやった方が早い」は今だけの話です。先を見れば、チームとしての総力は個人の力の比ではありません。大切なのは、メンバーの可能性を信じること。(中略)「チームに任せられる人がいない」というのは、「私はマネージャーとして無能です」とい言っているのと同義です。「自分でやった方が早い」というのは、育成を無視し組織を弱体化させる罪です。」(114ページ)
■「主体性はリモートワークにおいてもとても重要です。(中略)目の届かないところでも、自主的に前向きに仕事に取り組んでもらうために、主体性の確立は不可欠な課題となってきています。」(127ページ)
■ティーチングとコーチングの二つを使い分けることが重要。部下が経験を積むに従い、コーチングの比重が大きくなっていく。
ティーチング:答えを教える。相手の経験が浅い場合、緊急時、複数人に同時に育成するときに使用。相手がスキルを習得することが目的。
コーチング:答えを引き出す。主体性を持たせてモチベーションを上げたいとき、1対1で育成するときに使用。相手が自ら動けるようにすることが目的。
(138-139ページ)
■”リーダーになると、成功とは「他人を成長させること」になる”(byジャック・ウェルチ)(175ページ)
■褒めるときは、他のメンバーと比べる「水平承認」ではなく、メンバーの過去と比べて褒める「垂直承認」(196ページ)
■「本書の意図は、すべてのプロジェクトを任せましょう、ということではありません。プレーヤーとして、ご自身が動くことを否定はしません。任せずに自分が現場で動く残りのプロジェクトでは、ぜひ模範となるような動きをしましょう。それが、マネージャーとしての説得力となります。」(248ページ)
■任せることで空いた時間は、現場レベルの貢献より1レイヤー上の俯瞰した視座から、組織を強くすることに費やすのが第一にやるべきこと。組織的な活動以外にも、自己研鑽・リスキリングや、本を読み、映画を観て、旅に出ることも、魅力的なリーダーになる人間的な素養の源になる。(250ページ)
■これからのリーダーに必要な条件の一つは「越境力」。同じ分野での成長である「拡張」も重要だが、異なる分野への越境していくマインドと能力を身に付ける。専門領域とは別の分野で人脈を構築して新しい知識を身に付けることで、新たな世界が見えてくる。(251ページ)
4.購入前の自分に薦めたい度
★★★★☆(5段階中4)