『とにかく仕組み化』

とにかく仕組み化 読書メモ - ビジネス

1.書籍情報

安藤広大著、ダイヤモンド社、2023年5月発行、319ページ

2.購入した経緯

『リーダーの仮面』『数値化の鬼』の続編。

3.読書メモ

人の上に立つ人に必要な思考法。

自分としては、『リーダーの仮面』>本書>『数値化の鬼』の順で役に立った。

■「社長である私は、できるだけ手を動かさないことを大事にしています。自分がいなくても回る仕組みを構築するように、日々、考えています。すると、究極的に、「社長がいなくてもいい」という状態になる。私は、「それでもいい」と考えています。親がいなくなっても子供が育つように、自分の存在が限りなくゼロになっていくことが究極的には必要です。」(26ページ)

■以下2点を押さえて、とにかく仕組み化をすることを考えるようにしていくのが本書の目的。
「性弱説を前提に考えたほうがいい」
「組織は放っておくと属人化していく」

そのための流れは以下。
①「責任と権限」を手に入れる →決めたことを守り切るようにする
②「危機感」を利用する →正しい恐怖を感じ続けるようにする
③「比較と平等」に気をつける →正しく人と比べる環境を整える
④「企業理念」を再認識する →自分がどこに向かっているかを迷わない
⑤「進行感」を感じる →他者と共に大きなことを成し遂げる
(66ページ)

■「あなたが休みになったとき、仕事が滞らないでしょうか。「休みの日でもメール対応できるから」という状況は、属人化を生みます。いざというときに、他の人が引き継げるように、「マニュアル」をつくっておくことです。「何をすればいいのか」を言葉にしておくのです。それができるということは、「人に教えることができる」ということですし、部下を育てたり、チームをつくったり、仕組みが整えられるということ。その一歩目として、自分の仕事を「引き継げるようにしておく」ということは、とても重要です。同じように、部下の仕事も、引き継げるようにしておくことです。誰が退職してもいいようにしておくのは、リスクを回避する上で大事なことです。」(75ページ)

■「人間は、人間である限り、ずっと満たされないのです。満足した瞬間というのは、成長が止まるときです。引退して、余生を送るときに考えればいいことです。あるいは、節目節目に、少し人生を振り返ってみて、「悪くないな」と思えれば、それでいい。それが瞬間的にラクになるときかもしれません。しかし、次の日には、「もっと上を目指そう」と思うはずです。どんな仕事でも、プロフェッショナルは、飽きることがないと言います。ものづくりも、スポーツも、そして、経営もそうです。」(151ページ)

■「相手にとって必要な指導をすると、「このまま成長しないと、会社に居場所がなくなるかもしれない」「とにかく現状を変えるために、何かを改善しないといけない」という、正しい恐怖が芽生えます。そのためには、「〇〇を達成すれば評価します」と、明文化されたことを伝えるだけです。あとは、本人に考えさせる時間を与えます。人の上に立つ人は、よほどのことが無い限り「話を聞きすぎない」ということが求められます。「距離感を保つ」「制限時間をつくる」というルールで、人を成長させるようになりましょう。」(155ページ)

■「たとえば、営業だけをやってきた叩き上げの人が、営業部長になるとします。そして、その営業部長が自分で稼ぐようになります。いつまでもプレーヤーの動きを続けて、「自分のやり方」を全員に押し付けて、画一化します。さらに、それに対して何も言わない人だけを過大評価し、副部長や課長に昇進させます。上司・部下の関係でも、「既得権益」は生まれるのです。ずっと同じ上司・部下の関係が続くと、そこに「悪い権利」が出てきます。簡単に言うと、「仲良くなりすぎる」ということです。「この上司についていくためだけに頑張る」という状況を生みます。(中略)個人としての成長を考えたときに、「1人でどこでも生きられるようにする」「どんな組織でも働けて、結果が出せるようにする」ということを期待すべきです。なので、人事異動と同じく、上司・部下の組み合わせも、定期的に変える仕組みが必要です。」(182ページ)

■「「企業理念」の深い理解は「遅れてやってくる」ということです。いちプレーヤーが、すべての行動を「企業理念」をもとに意思決定するのは間違っています。それは、経営者がやるべきことです。そして、組織の中で上に行けば行くほど、自分の責任がわかり、「企業理念」の解像度が高まります。山の上に書かれていて、下からでも読める状態だと思ってもらえると、イメージできるでしょうか。下からも見えるけれど、上に行けば行くほど、ハッキリと見える。「そうか、だからあの仕事をしていたのか」「だから、あの事業が必要だったのか」と、遅れて理解がやってきます。それが企業理念なのです。よく、経営者の理念を全社員に腹落ちさせる勉強会をおこなう企業があります。もちろん、知っておくことはできると思います。しかし、それを納得させて、全社員に「経営者意識」を持たせることは不可能だと思っています。それは、責任が異なるからです。責任があるから見えてくるものがあるのです。」(216ページ)

■「「社長は理想だけだ」と、現場は思うかもしれません。だから、中間管理職が機能します。役職が上がり、経営層の意図をプレーヤーよりも理解できるからです。つまり、視座が異なってくることで、考え方が変わります。その責任のもと、現場と向き合うことが求められます。「あの人は出世して変わっちゃったな」「組織の人になっちゃったな」と言われるのは、当然のことです。」(219ページ)

■「業務委託だと、「同じ仲間」という意識が芽生えません。そういう仕組みではないからです。上司部下の関係ではありません。「育てる」「育つ」という目的が発生しないのです。」(264ページ)

■「「どの方向に成長したいか?」「どうやって世の中に貢献したいか?」この2つの軸で考えて、今の会社の企業理念と照らし合わせて下さい。同じ方向を向いているでしょうか。もし、そうであれば、「とにかく仕組み化」です。与えられた責任を理解して、歯車として完璧な機能を果たし、人の上に立つ人になってください。」(269ページ)

4.購入前の自分に薦めたい度

★★★★☆(5段階中4)

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