1.書籍情報
安藤広大著、ダイヤモンド社、2020年11月発行、282ページ
2.購入した経緯
書店のリーダーシップ論コーナーで長いこと面陳列になっており、気になって購入。
3.読書メモ
よくあるパッション系のリーダーシップ論とは一線を画した、ある意味デジタルでドライなリーダーシップ論。どちらがよいというよりは、両者の使い分けをできるのがよいと思う。
■「識学」とは、組織内の誤解や錯覚がどのように発生し、どうすれば解決できるか、その方法を明らかにした意識構造学。(10ページ)
■リーダーがフォーカスすべきなのは、次の5つのポイントだけ。これだけに絞ってマネジメントをする。「ルール」「位置」「利益」「結果」「成長」(17ページ)
■リーダーの役割は、部下たちのモチベーションを上げることではなく、成長させること。人間の意識構造を知れば、どのような誤解が生まれるか、どうすれば誤解を回避でき、部下たちが行動し、成長していくかを知ることができます。(50ページ)
■「上が怒るよ」という言い方は、リーダーである自分が部下と同じ位置からモノを言ってしまっている。この手法は責任逃れであり、リーダーとしてNG。部下と自分が「仲間」になることで、なあなおの関係になってしまい、部下の成長が止まる。こうした言動は初めてリーダーになった人がしがち。プレーヤーの気持ちが残っていて、偉そうにすることに抵抗があるため。すると、指示することや責任を負うことをどんどんしなくなり、やがて「空気を読むだけの調整役」や「役に立たない上司」になっていく。自分を主語にすべき。(85ページ)
■上司が相談に乗っていいのは、次の2つのときだけ。①部下の権限では決められないことを決めるとき、②部下が自分で決めていい範囲なのか迷ったとき。(126ページ)
■部下が「楽しく働ければそれで満足」「ラクに働ければ成長しなくてもいい」と言ってもそれを真に受けてはリーダー失格。部下も本心では「楽しいだけやラクなだけじゃダメ」とわかっているはず。組織に所属している以上、本心では成長意欲があることを前提にリーダーはマネジメントし、部下を「使えない社畜」にしないようにすべき。人は常に言行一致しているとは限らない。(152ページ)
■個人が成長という「利益」を得ることができるのは、会社の成長に貢献できているから。成長という「利益」を追い求める限り、会社と利益相反を起こさず、永遠に「利益」を得続けることが可能。一方、「充実した福利厚生がほしい」などの部下が求める「利益」は、ときに会社と利益相反を起こす。会社と利益相反を起こす「利益」を与え続けることは不可能。(163ページ)
■会社が急につぶれても食いっぱぐれないように部下を成長させることがリーダーの仕事。子育てであれば、親がいなくなっても大丈夫なように育てるのと同じこと。子供がかわいいからこそ厳しく育てる。(268ページ)
4.購入前の自分に薦めたい度
★★★★☆(5段階中4)