『美しい生物学講義』

美しい生物学講義 読書メモ - 健康・生活

1.書籍情報

更科功著、ダイヤモンド社、2019年11月発行、328ページ

2.購入した経緯

何かの本で推薦されていたため、読んでみたい本リストに入れていたもの。

3.読書メモ

生物学の本は(高校の教科書を除いて)読んだことがなく、非常に新鮮で、知らないことだらけであった。一般人向けに、読み物として楽しめるように書かれている。また、一文が短いので、読みやすい。以下、特に覚えておきたい点をメモ。

■「生物の体には、いつも物質が流れ込み、そして流れ出ていく。(中略)私たちの体の一番外側は、表皮である。基底層では盛んに細胞分裂が起きており、ここでできた細胞が表層に向かって押し出され、一番外側の角質層に達すると、剥がれ落ちる。いわるゆ垢である。この表皮の細胞の寿命は数週間である。 表皮の下には真皮がある。真皮の細胞の寿命は長く、数年である。そのため、真皮の細胞はなかなか入れ替わらない。体に入れ墨をすると、一生消えない。それは色素を、表皮を貫いて真皮まで注入するためだ。色素の粒子のうち、小さなものは排出される。しかし、大きなものは、細胞が入れ替わっても排出されないので、その場に残る。そのため、入れ墨はだんだん薄くはなるが、一生消えないのである。」(70ページ)

■「ミドリムシは鞭毛を波打たせて泳ぐし、体を変形させて動くこともできる。まるで動物みたいだ。その一方で、ミドリムシは葉緑体を持っており、光合成をすることができる。まるで、植物みたいだ。そのため昔は、ミドリムシはいったい動物なのか植物なのかと、悩む人もいたようだ。 しかし、なぜミドリムシが動物か植物か迷うのかというと、それは、生物には動物と植物しかいないと思っているからだろう。でも、実際には、動物でも植物でもない生物はたくさんいる。というか、すべての生物の中で、動物や植物はほんの一部分を占めるにすぎない。だから、ミドリムシが動物か植物かを、悩む必要はなったくない。」(108ページ)

■「有機物(Cを含む) + O2 → CO2 + エネルギー」。薪を燃やすと、二酸化炭素と熱エネルギーが発生する。燃えるというのは、急速に酸素と結合すること(酸化)。動物は自分で有機物を作れないので、食べるしかない。一方、植物は光合成により有機物を作り出せる。「光エネルギー + CO2 → 有機物(Cを含む) + O2」というように、ちょうど左右反対の式で表せる。(146ページ)

■「水分子では、プラスの電気はミッキーマウスの耳の方に多く、マイナスの電気は顔の方に少し多く分布することになる。水分子は、全体としてはプラスとマイナスの電気が相殺して電気を持っていないのだが、プラスとマイナスの電気の分布が片寄っているのである。 そのため、水分子と水分子は、そのプラスの部分とマイナスの部分で引きつけ合う。この、水分子同士がくっつき合う力を、凝集力という。この凝集力は非常に強く、細いパイプに入った水を、理論的には450メートル持ち上げることができる。そのため、木の上の葉から水が蒸発すれば、水分子はお互いに離れないように、上から水を引き上げるのだ。」(153ページ)

■「体の水分量が多いほど、血中アルコール濃度は低くなる。したがって、体の大きい人ほど体内の水分量が多いので、アルコールで酔いにくいことになる。」(290ページ)

■「アルコールは吸収速度が速い。肉や野菜などの食物は大き過ぎて、そのままでは吸収できない。そこで、いろいろな酵素などで消化する。つまり小さくする。それにはかなりの時間がかかる。しかし、アルコールはそのまま吸収できるので、吸収速度が速いのだ。 とくに吸収が速いのが小腸で、アルコールが小腸に入れば、すぐに吸収されてしまう。だから、もしも飲んだアルコールがそのまま小腸に入ったら、すぐに小腸で吸収されて、一気に血中アルコール濃度が高くなってしまう。それを防いでくれるのが胃だ。 食べ物を食べながら飲めば、アルコールは食べ物と一緒に、しばらく胃の中に溜めておかれる。それから食べ物と一緒に、ゆっくりと小腸に送り出される。その場合は、血中アルコール濃度の上がり方はゆるやかになるし、最高値もあまり高くならない。」(291ページ)

■細胞分裂する際に、自分と同じ細胞と、自分とは異なる細胞に分裂する細胞を、幹細胞という。(例:表皮の基底細胞)(306ページ)

4.購入前の自分に薦めたい度

★★★★☆(5段階中4)

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