『思考の整理学』

思考の整理学 読書メモ - ビジネス

1.書籍情報

外山滋比古著、筑摩書房、1986年4月発行、232ページ

2.購入した経緯

学生時代に一度読んだがピンと来なかった。今読むとどうなるか気になり、購入。

3.読書メモ

色々と経験を積んだ今になってようやく本書の内容を具体的イメージをもって理解できた。「東大・京大で一番読まれた本」といって売り出されているが、学生の段階で具体的に理解できるのかは疑問。社会人向けの本だと思う。

■「人間には、グライダー能力と飛行機能力がある。受動的に知識を得るのが前者、自分でものごとを発明、発見するのが後者である。両者はひとりの人間の中に同居している。(中略)現実には、グライダー能力が圧倒的で、飛行機能力はまるでなし、という”優秀な”人間がたくさんいることもたしかで、しかも、そういう人も”翔べる”という評価を受けているのである。」(13ページ)

■「ギリシャ人が人類史上もっとも輝かしい文化の基礎を築き得たのも、かれらにすぐれた問題作成の力があり、”なぜ”を問うことができたからだといわれる。飛行機能力がすばらしかったのである。」(21ページ)

■”見つめるナベは煮えない”(問題やアイデアを”寝させる”ことについて)(32ページ)

■「”知のエディターシップ”、言い換えると、頭の中のカクテルを作るには、自分自身がどれくらい独創的であるかはさして問題ではない。もっている知識をいかなる組み合わせで、どういう順序に並べるかが緊要事となるのである。」(51ページ)

■「映画のフィルムもごくゆっくり映写すると、画面は明滅して、介在する空白部分がスクリーン上に白く映し出され、連続感は崩れてしまう。 ことばでも、流れと動きを感じるのは、ある速度で読んでいるときに限る。難解な文章、あるいは、辞書首っぴきの外国語などでは、部分がバラバラになって、意味がとりにくい。残像が消滅してしまい、切れ目が埋められないからである。」(63ページ)

■「思考の整理というのは、低次の思考を、抽象のハシゴを登って、メタ化して行くことにほかならない。」(77ページ)

■「この工場の整理に当たることをするのが、忘却である。人間の頭を倉庫として見れば、危険視される忘却だが、工場として能率をよくしようと思えば、どんどん忘れてやらなくてはいけない。(中略)コンピュータには倉庫に専念させ、人間の頭は、知的工場に重点をおくようにするのが、これからの古方向でなくてはならない。」(112ページ)

■「知識ははじめのうちこそ、多々益々弁ず、であるけれども、飽和状態に達したら、逆の原理、削り落し、精選の原理を発動させなくてはならない。つまり、整理が必要になる。はじめはプラスに作用した原理が、ある点から逆効果になる。」(130ページ)

■「書くことによって、すこしずつ思考の整理が進むからである。何度も何度も書きなおしをしているうちに、思考の昇華の方法もおのずから体得される。(中略)原稿に書いたものを推敲する場合でも、黙って読まないで音読すると、考えの乱れているところは、読みつかえるからすぐわかる。声も思考の整理にたいへん役立つのである。 『平家物語』はもともと語られた。くりかえしくりかえし語られている間に、表現が純化されたのであろう。」(138ページ)

■「表現をぎりぎりに純化してくると、名詞に至る。まず、副詞が削らる。(中略)副詞の次には、形容詞もぎりぎり必要なものでない限り、落とした方が、考えがすっきりする。」(142ページ)

■「新しい思考を生み出すにも、インブリーディングは好ましくない。」(167ページ)

■「前もって、考えかけたことをもち、車中の人になれば、ふと妙案が浮かんでこないとも限らない。枕上でも厠上でも同じである。」(175ページ)

■「具体例を抽象化し、さらに、これを定型化したのが、ことわざの世界である。庶民の知恵である。古くから、どこの国においても、おびただしい数のことわざがあるのは、文字を用いない時代から、人間の思考の整理法は進んでいたことを物語る。」(188ページ)

4.購入前の自分に薦めたい度

★★★★☆(5段階中4)

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