『NFTの教科書』

NFTの教科書 読書メモ - ビジネス

1.書籍情報

天羽健介、増田雅史著、朝日新聞出版、2021年10月発行、320ページ

2.購入した経緯

以前読んだ『だれにでもわかるNFTの解説書』に続き、もう一歩深くNFTを知りたいと思い購入。

3.読書メモ

第1章は「NFTビジネスの全体像」ということで、スポーツ、ファッションなど、各分野でNFTビジネスを仕掛ける第一線の方によるオムニバス形式の寄稿集となっている。第一線の方が限られたページ数で書いているためか、専門用語の説明がないなど、素人には読みづらい。『だれにでもわかるNFTの解説書』を読んでいなければ、途中で投げ出していた可能性あり。

第2章は「NFTの法律と会計」ということで、この分野に明るい弁護士と会計士が論点整理を試みており、実務上の参考になる。本書はこの第2章を必要とする人にとって買う価値があると思う。

最終章にあたる第3章は「NFTの未来」ということでまた識者によるオムニバス寄稿集となっている。最後の國光氏の寄稿が分かりやすくてためになる。

以下、幾つかポイントとなる箇所を記録(「→」部分は私のコメント)。

■「NFTにおける権利や取引における法整備などはまだまだなされていません。特に所有権に関しては、現在の日本法上ではNFTなどのデジタルデータ、すなわち「無体物」には適用されません。この課題については、日本に限らず世界でも大きな議論となっています。」(55ページ)

■経済自体がアプリ内やそのエコシステムで閉じているものをクローズドメタバースと呼ぶ。NFTの大きな特徴としてプラットフォームを超えてデジタルアイテムを持ち越せることが挙げられる。NFTはオープンメタバースをもたらす可能性を秘めている。(60−61ページ)

■「でも贋作である以上、それには一切価値がありません。つまり、絵画の価値は作品の出来にあるのではなく、「本物である」という「証明」にこそ価値があるといえるわけです。 裏返していうと、本物という証明さえあれば、贋作にも本物と同様の価値が生まれてします。だから、リアルな世界では鑑定書も偽装されるし、それもまた案外簡単なので、素人がだまされたりするのです。 それに対してNFTは、そのデジタルデータが本物であることを容易に証明できます。なので、誰もだますことができません。」(301ページ)
→ここで言っている「絵画の価値」とは、「絵画の投機的価値」のことだと思われる。

■「インターネット以前、コンテンツビジネスはその商品を音楽ならCDに、映像ならDVDに、ゲームならゲームパッケージに入れていました。商品の中身はもちろんデータですが、CD、DVD、ゲームパッケージに入れることで供給量をコントロールし、価格をコントロールしていたといえます。 ところが、インターネット時代になって、肝心の商品データの複製コストがゼロになってしまい、需要と供給のバランスが崩壊してしまった。つまり、それがたとえ違法行為であったとしても、実際にはネット上で商品データの供給量が無限になったことで、その価値がゼロになったわけです。なので、従来の商品が売れなくなったコンテンツビジネスはサービス業になっていきました。サブスクなど、サービスを提供してお金をもらうといったかたちに変わらざるを得なくなったのです。 NFTはこうした状況を変えることができるテクノロジーです。コピーや改ざんができないので、バーチャル空間の中でも供給サイドが数量を制限できる。そのことによって、NFTのデジタルデータはアセットバリューをもつようになるわけです。」(302ページ)

■ゲームを取り巻く状況の変化
①昔はゲーセンでお金を払ってプレイする「Pay-to-Play」
②最近はeスポーツやYouTubeでのゲーム実況など、見せるためにゲームをする「Play-for-Watch」
③そして、その先にあるのが「Play-to-Earn」
これまで親は子供に「ゲームは時間の無駄」と躾けてきたが、ゲームで稼げる時代が来ると、無駄とは言えなくなる。(306ページ)

4.購入前の自分に薦めたい度

★★★★☆(5段階中4)

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